編集局編集委員
水川 恭輔
2007年入社
原爆被害の空白に迫る
1945年8月6日、米国が広島に投下した原爆による被害の全容は、80年近くたっても分かっていません。心身に傷を負った被爆者や家族を失った遺族の証言を聞き取り、各地に眠る資料を探しています。
一家全滅の家族、生まれた当日に被爆死した赤ちゃん…。被爆75年の企画「ヒロシマの空白」では、埋もれた犠牲者を掘り起こしました。若者たちの関心を高めるアイデアを取材班で話し合い、原爆で壊滅する前の街並みの写真を千枚以上載せたウェブサイトも作りました。
「二度と繰り返してはいけない」。被爆者たちの切なる訴えを胸に、核兵器を巡る世界の動きも追いかけています。2017年には核兵器禁止条約が122カ国・地域の賛成で採択される瞬間を米ニューヨークの国連本部で取材しました。
被爆者の平均年齢は85歳を超え、禁止条約ができても核保有国は反発しています。記憶の継承も核軍縮も岐路に立つ中、被爆地の新聞に何ができるか。心強い先輩や後輩たちとこれからも考えたいと思います。